時間外手当の減少は不利益変更?
賃金制度や労働時間制度等を変更することによって、時間外手当が減少する場合がありますが、過去の判例からすると、労働者の既得権であるというには少々無理があるようです。
(函館信金事件 函館地裁 平成6年12月22日)
労働者には時間外労働を求める権利はなく、その意味で、時間外労働に支払われる時間外手当は、従来支払われていたものであっても、既得権としての権利性が弱いものであることは否定できない。したがって、基本給の低い分を時間外手当によって補っているという現実の状況があるとしても、なお、右時間外手当の減少をもって、不利益性の内容として重視することはできないというべきである。
(羽後銀行事件 最高裁判決 平成12年9月12日)
被上告人らは、本件就業規則変更による時間外勤務手当の減少を重視すべきであると主張している。しかし、時間外勤務は、(中略)使用者が時間外勤務を命じた場合などに行われるものであって、時間外勤務を命ずることについては使用者に裁量の余地があり、かつ、事務の機械化等が時間外勤務の必要性に影響を及ぼすことも想定することができるのである。右のことからすると、もし本件就業規則変更がされなかった場合に、右変更前の終業時刻から本件就業規則変更後の退勤時刻までの時間につき、法定内あるいは法定外の時間外勤務が当然に行われることになるとはいえず、これが行われることを前提とする被上告人らの主張には、合理的な根拠があるとはいい難い。
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